「頭が教えてくれない
ことを、
手が教えてくれる」
副院長 小川 基美
副院長に、十の質問
皮膚科の専門医。大江橋クリニックの美肌育成レーザーは、すべて副院長が自分の手で照射しています。十の質問に、答えてもらいました。
手
Q.01 何をしている人ですか。
「職人です。手順書を読んでから動くのではなく、体が先に動きます。照射の途中で肌の様子が変わったら、その場で次の手を打つ。考えてから動くのではなく、動きながら見ています。」
Q.02 手で考える、とはどういうことですか。
「危ない場面が来ると、頭より先に、手が止まるんです。頭が命令しているのかもしれません。でも、頭が教えてくれないことを、手が教えてくれる。そう思っています。」
Q.03 役目を終えた機械を、なぜ分解するのですか。
「もう作られなくなると知ったとき、その光を自分の手に移しておこうと決めました。手の中に入ったと思えるまで照射を重ねて、それでも見返したくなる。役目を終えたら、最後は自分で分解します。開発した人が何を考えていたのか、そこまでしないと見えないので。服も同じでした。名のあるメゾンの古い服も、ばらして、組み直してきました。ばらしてみないと、つくった人の考えはわかりません。」
手を通したものだけが、
本当にわかる。
顔
Q.04 照射しながら、何を見ていますか。
「顔を通して、十年後を見ています。照射していると、この方の顔の十年前と十年後が、早送りの映像のように浮かぶんです。十年後に、こうはならないように。だから毎回、少しずつ布石を打ちます。照射が終わったときには、もう次の照射のことを考えています。」
Q.05 一発目の照射は、怖くないのですか。
「怖いです。考えに考えたあとでも、やっぱり怖い。大丈夫かな、と思う。でも、絶対に大丈夫。お一人お一人の治療の前と後に、必ず院長と二人で予習と復習をしてきたのですから。始まったら、晴れ晴れと立ち向かいます。毎日が、冒険の連続です。」
Q.06 顔とは、何だと思いますか。
「その人が過ごしてきた時間です。眉の寄せ方、口元の癖、肌の疲れ方、言葉の選び方。若いころ、いろいろな人の顔が見たくて、医師の肩書きのいらない面接をよく受けに行きました。肩書きと顔は、ぴたりと一致するんです。顔には、中身が出る。勢いのいい人は、勢いのいい顔になる。でも、その反対もある。人生の姿勢が顔に現れるのなら、顔が人生の勢いを左右したっていい。そう思ったんです。」
顔が、人生の勢いを
左右したっていい。
言葉
Q.07 弱みは、隠したいものではありませんか。
「弱みは、悪いものとは限りません。隠さずに見つめると、強みになることもある。弱みのままで、強みをいっそう引き立てることもある。星は、夜空が暗いほど輝くのですから。治したほうがいい弱みと、治さなくていい弱みがある。それを見極めるのが、診察です。」
Q.08 照射のあいだ、なぜそんなに話をするのですか。
「ご自分を語っていただかなければ、その方に合う一回は組み立てられないからです。子どもには小テストがあるけれど、大人には区切りがあまりない。一か月は、長い時間です。そのあいだにあったことを、ご自身がどう感じたかも含めて、話していただきます。肌の話から始まって、気づいたら人生の話になっている。それでいいんです。」
星は、夜空が暗いほど輝く。
芯
Q.09 職人から、何を学びましたか。
「クリニックをつくるとき、塗りの職人さんに、一人前になるには何年かかるか聞きました。塗るだけなら数年。でも、この色を塗るとこうなる、とわかるまでに十年かかる。その方は、私が気づかなかったほどわずかな色の違いを見つけて、手間がかかるのに、費用も変えずに塗り直してくださいました。プロの目は、そういうものだと思います。」
Q.10 大切にしている考えは。
「伝統は、守るものではない、ということ。いま、この瞬間に、自分の中を通してつくるものです。昨日までの自分のやり方も、もっと良いものが見えたら、蹴飛ばします。一度壊して、組み直したほうがいいものになるに決まっていますから。自分のことは、今日を全部使い切れたら、それでいいんです。」
伝統は、守るものではない。
経歴
副院長 小川 基美
学歴 関西医科大学卒業
研修 関西医科大学(皮膚科)
資格 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
所属 日本形成外科学会 会員
経歴 2007年、院長とともに大江橋クリニックを開院
専門 美肌育成レーザー、皮膚科診療

II VOLTO 顔

Q.06 いまの美肌育成レーザーは、どこから始まったのですか。
「勤務医のころ、京都の病院にいました。京都で働いた時間は、長くはありません。でも、そのあいだにできることは、やり尽くしました。京都の方の肌に合うレーザーを、とことん追いかけたんです。執念を燃やした、と言ってもいいくらい。そのころ東京で形になりつつあった美肌のレーザーとは、別の道を探していました。それが、いまの美肌育成レーザーにつながっています。」
Q.07 照射が終わったとき、何を考えていますか。
「もう、次の照射のことを考えています。顔を通して、十年後を見ているんです。よく、女優さんの何十年前と今の顔を並べた映像がありますよね。照射しながら、あれが頭に浮かぶんです。この方の顔は、十年後にどうなっているだろう、と。」
Q.08 診察室で、欠かせないものは。
「覚悟です。毎日が、自分の心との闘いなんです。一発目の照射は、考えに考えたあとでも、やっぱり怖い。大丈夫かな、と思う。でも、絶対に大丈夫。院長と、きちんと予習と復習をしてきたんだから。患者様お一人お一人の治療の前と後には、必ず二人で予習と復習をしています。毎日が、冒険の連続です。そして、始まったら? もちろん、晴れ晴れと立ち向かいます。」
毎日が、
冒険の連続。
Q.09 患者さんの、どこを見ていますか。
「顔には、その人が過ごしてきた時間が出ます。眉の寄せ方、口元の癖、肌の疲れ方、言葉の選び方。見ようとしなくても、見えてしまうんです。」
Q.10 人の顔は、いつから見ていたのですか。
「若いころから、いろいろな方の顔が見たくて、よく出かけました。医師の肩書きのいらない面接も、よく受けに行きました。面接を受けると、自分の弱いところがよくわかる。でも、相手の弱いところも、よくわかるんです。それに、肩書きと顔が、ぴたりと一致する。肩書きがこういう人は、こういう顔をしている。そんなパターンを、たくさん見てきました。顔の写真集も、ずいぶん集めました。片岡球子の『面構』も好きです。会ったこともない歴史上の人物なのに、その人がどんな人だったのか、手に取るようにわかる。顔には、中身が出るんです。顔を見ること、顔をつくることに、ずっと心を惹かれてきたのだと思います。いまでも、つい、人の顔をじっと見つめてしまいます。」
Q.11 顔とは、何だと思いますか。
「その人となりを表すものです。勢いのいい人は、勢いのいい顔になる。しょぼくれた顔をしていると、人は自然と、しょぼくれていってしまう。でも、その反対もあるんです。人生の姿勢が顔に現れるのなら、顔が人生の勢いを左右したっていい。そう思ったんです。」
顔が、人生の勢いを
左右したっていい。

III PAROLA 言葉

Q.12 弱みは、隠したいものではありませんか。
「弱みは、悪いものとは限りません。夏目漱石の『吾輩は猫である』の書き出しは、『吾輩は猫である。名前はまだ無い。』です。猫という呼び名は、人間が勝手につけて、そのカテゴリーに入れているだけ。猫のほうは、自分を猫だなんて思っていないかもしれない。人間の側に立ってあげて、そう呼ぶなら猫と名乗りましょう、と思っているだけ。猫のほうが、よほど優しい心遣いをしているのかもしれません。弱みも同じです。隠さずに、とことんマストに釘付けにする。そうすると、弱みが強みになるかもしれない。反対に、弱みは弱みのままで、強みをいっそう引き立てる演出になるのかもしれない。星は、夜空が暗ければ暗いほど、輝くのですから。物事を、一つの見方だけでとらえてはいけない、ということです。弱みを、治さなければいけないこともあるかもしれない。治さなくていいこともあるかもしれない。それを見極めるのが、人を見極めるということ。それが、診察です。ご本人から見た自分をきれいにすることも、大事。でも、ほかの人から見てきれいだと思える方へ仕立てるのも、診察なんです。そして、その診察を深めてくれるのが、お話しです。ですから、どうぞお話しください。」
弱みは、強み。
星は、夜空が暗いほど輝く。
Q.13 診察室では、どんな話をしますか。
「肌の話から始まって、気づいたら人生の話になっていることが、よくあります。照射のあいだの一時間、ずっとそばにいますから。」
Q.14 照射のあいだ、なぜそんなに話をするのですか。
「ご自分のことを語っていただかなければ、その方に合う治療は組み立てられません。だから、照射のあいだに、たくさん話していただきます。毎月お越しいただくのにも、意味があるんです。子どもには中間テストも小テストもあるけれど、大人には区切りがあまりない。一か月は、長い時間です。そのあいだにあった出来事を、ご自身がどう思ったかも含めて、話していただく。その方となりを見せていただかないと、その方に合う一回にはならないんです。」
ご自分を語っていただかなければ、
あなたを仕立てることはできません。

IV SPAZIO 空間と、人

Q.15 カッシーナは、誰が選んだのですか。
「私です。長く座っても疲れなくて、何十年使っても形がくずれないから。漆器や切子も、ずいぶん集めました。でも、使わないものは、潔く手放しました。使ってこそ、ですから。」
Q.16 いまのクリニックをつくるとき、何をしていたのですか。
「いまの場所は、三度目の移転です。施工のことを勉強するうちに、図面を見るだけで、頭の中で三次元に立ち上げて、その中を歩けるようになりました。設計をお願いした山下先生のおかげです。工事のあいだは、職人さんの仕事を、ずっと見ていました。塗りの職人さんに、一人前になるには何年かかるのか、聞いたことがあります。塗るだけなら数年でできる。でも、この色を塗るとこうなる、とわかるまでに十年かかる。そう言われて、納得しました。何十年もその仕事をしてきた方で、塗ったかどうかわからないくらい、きれいに仕上げてくださいました。用意したペンキの色と、扉の桟の色が、ほんのわずかに違っていたんです。私は、言われるまでまったく気づきませんでした。手間がかかるのに、こうしたほうがいい、と言って、そこだけ塗り直してくださった。費用は変わらないのに、です。プロの目は、すごいと思いました。その方とは、いまもお付き合いが続いています。こういう気持ちのいい方とは、これからもずっと、つながっていきたい。私からは、手荒れのアドバイスをしました。職人さんにとって、手は何より大切なものですから。ずっと仕事を続けてほしい方の、お一人です。」
わかるまでに、
十年かかる。
Q.17 髪は、どうしているのですか。
「こだわりは、ないんです。いまお願いしているのは、山伏もされている美容師さん。勘所のいい方なので、お願いしています。私が行ったことのない場所の話をしてくださるので、とても楽しくて。髪を切るあいだ、ずっと話しています。髪の話は、ほとんどしません。ヘアスタイルも、もうおまかせ。もちろん、山伏の髪型にはなっていませんけれど。話は尽きません。私に合わせることなく、新しい見方をくれる人です。私も、自分を知ってほしい。自分をつくってもらう相手ですから、どんどんさらけ出します。そうしたら、もっといい私をつくってくれるようになりました。この人、と思ったら、おまかせしてしまうんです。人と人ですから。人と人のつながりを、大事にしています。髪を整えてもらいながら、人生も整えてもらっているのかもしれませんね。この方とも、きっと生涯のお付き合いになる気がします。」

V VITA 暮らし

Q.18 服は、どうやって選びますか。
「服は、よくばらしました。ばらして、もう一度組み立てる。老舗のメゾンの古いコレクションも、ばらして自分用に作り替えました。名のあるものでも、遠慮はしません。勤務医のころは、ワンピースを自分で縫っていました。もちろん手縫いです。ミシンより、手縫い派。小回りがきくし、ミシンはどうしても上糸と下糸で縫うので、味気ないんです。縫い上げてみたら何か物足りなくて、下に着るパニエも作りました。さすがに仕事中は白衣の時代ですから、ふくらみすぎて、パニエは脱いでいましたけれど。皮膚科の医局には、おしゃれな先生が多かったんです。手縫いのパニエを着ていった日は、更衣室で先輩にお見せしたこともあります。いまも服は、日本のものも、海外のものも着ます。値段では選びません。形と、つくった人が何を考えたか。そこを見ています。」
Q.19 どんな本を読みますか。
「事務所は、本だらけです。東アジアの歴史と文化、顔の文化。いまは、マリア・テレジアと娘のマリー・アントワネットの往復書簡を読んでいます。遠いウィーンから、母は娘の振る舞いも装いも見抜いていた。学ぶところが、たくさんあります。」
Q.20 朝いちばんに、することは。
「おいしいお煎茶を飲みます。大江橋クリニックを始めてから、宇治のお茶を教えていただいて、それからずっと、自分で取り寄せています。朝、そのお茶を飲むと、思うんです。支えられているな、って。」
支えられているな、
って。
Q.21 最近、手放したものは。
「自分に対する興味、でしょうか。最近、患者様が、皮膚科医としてではなく、私という一人の人間を見てくださっているのが、伝わってくるようになりました。自分のことは、あまり気にしていないんです。よく、観光客の方に道を聞かれたり、写真を頼まれたりします。傑作だったのは、海外で、日本語で道を聞かれたとき。話し方で、関西の方だとすぐわかったので、現地の地図を読んで、ここですよ、と関西弁で答えたんです。そうしたら、最後の最後になって『え、日本の方ですか?』って。そのときのお顔が、また可笑しくて。どれだけ関西弁の上手な外国人だと思われていたんでしょうね。しかも、海外で。よその国の道を、どれだけ我が物顔で歩いていたんでしょうね。それくらい、人の目が気にならないんです。」
Q.22 好きな季節は。
「全部です。日本には、四季がありますよね。春が来たと思ったら、もう夏。立ち止まって、ゆっくり考えたことはないんですけど。ここは、芭蕉に賛成です。深く知れば知るほど、もっとよくなる。去年の春より、今年の春のほうが、しみ入る。季節を重ねていくから、全部いいんです。それぞれに。」
去年の春より、
今年の春。

VI ANIMA 芯

Q.23 大切にしている考えは。
「伝統は、守るものではない、ということ。いま、この瞬間に、自分の中を通してつくるものだと思っています。岡本太郎の考えですね。昨日までの自分のやり方も、もっと良いものが見えたら、蹴飛ばします。自分に妥協してはいけない。一度自分を壊して、組み直したほうがいいものになるに、決まっていますから。」
Q.24 十年後の自分に、ひとこと。
「考えたこともないんです。患者様の顔の十年後は、毎日あんなに見ているのに、おかしいですね。自分のことは、今日を全部使い切れたら、それでいい。本当に生きるって、そういうことだと思うんです。」
今日を、
全部使い切る。
Q.25 最後に、ひとこと。
「サローネで、お待ちしています。肌の話でも、そうでない話でも。」

PHILOSOPHY

医学で、人を幸せにする
医学で、人を幸せにする。先代から私たちへと受け継いできた、大江橋クリニックの理念です。
診察で向き合うとき、その方の顔の十年前と十年後が、早送りの映像のように見えています。十年後に、こうはならないように。そう思い描いて、毎回の治療で、少しずつ布石を打ち続けています。
一度で大きく変えるのではなく、コツコツと通っていただくのは、そのためです。崩れてから取り戻すより、崩れる前から支えるほうが、顔は自然なままでいられます。
「脳外科医、耳鼻科医、形成外科医、皮膚科医に必要なことは手先の器用さではない。想像力であり、創造力である。」
旧井上医院 井上武雄 井上孝雄
「形成外科学も皮膚科学も医学です。形成外科学を皮膚科学を修得したといえども美容治療ができるわけではありません。美容も医学であるという理念のもと、美容医学を推し進めています。」
大江橋クリニック 井上研 小川基美 2026年12月1日

先代から受け継いできたこの言葉は、理念を手で叶えるための教えです。

POSTSCRIPT

美の工房、サルトリア →一人のために仕立て、その先の年月まで見届ける
美肌育成レーザー「大江橋マジック」 →医師が自ら照射する、毎月の仕立て
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