二人の考え
心で目指し、
学問で確かめる。
知性と感情と、美のこと。
二人がメスと光に込めている考えです。
知る顔と、馴染む顔。
医学は、確かめることを積み重ねてきた学問です。解剖を知り、測り、経過を見届ける。だから、知性が納得できる答えを出せます。
けれど、人の心は、知性だけでは動きません。どれほど正しいと言われても、心が動かなければ、人は本当にそうだとは思えない。
鏡を見て、その顔が、ご自分に馴染んでいる。そこまでを、二人は医学の仕事だと考えています。
馴染む顔のために、何をして、何をしないか。それも、医師がその方と一緒に考えます。ときには、手を加えないことが、いちばんその方らしい答えになることもあります。
ご希望の中には、今の医学では、お応えしきれないこともあります。よくお話をうかがったうえで、難しいときは、はっきりお伝えします。
心で目指し、学問で確かめる。
美は、感情を抜きにしては成り立ちません。美しいと感じるのは、理屈より先に、心です。
けれど、感情だけで治療を決めれば、学問ではなくなります。
だから二人は、役目を分けます。何を目指すかは、心で決める。その方の心と、医師の目と、二つを合わせて。どう確かめるかは、学問で決める。解剖から組み立て、測り、見届ける。
目指すのは心、確かめるのは学問。
自分の目で、自分の物差しで。
人の目は、精巧です。だからこそ、見たいものしか見えない。
ゴッホも、ミレーの絵を写して学び、その作品を残しています。写したものだから劣る、と言い切れるでしょうか。博物館でも、複製を飾ることがあります。出来のよい複製もあります。
写すことは、学ぶことでもあります。すべては、写すことから始まる。個性は、その土台の上に、あとから現れるものです。
人のよしが、いつのまにか自分のよしになる。よくあることです。顔も同じです。流行や、誰かが決めた形に、見方を持っていかれない。自分の目で、自分の物差しで見る。
整えすぎた顔は、誰の顔でもなくなります。人が惹かれるのは、その方にしかない顔立ちです。個性は、消すものではなく、生かすもの。個性が見える顔ほど、人は親しみを感じます。
どの顔にも、強みと弱みがあります。美しさの物差しは、医師の好みではなく、その方の顔の中にあります。
ほかの人が、きれいだと思うこと。ご自分の顔に、自信が持てること。どちらも大切です。その物差しの目盛りを、一緒に合わせていく。それが、診察です。
強みを生かし、弱みを整える。
心が静まるまで、待つ。
同じ絵でも、心がざわついている日と、静かな日とでは、違って見えます。見る人の心の具合で、感じ方は変わる。
手術のあとの顔も、同じです。腫れが引き、傷がやわらぎ、心が静まるまで、待つ。
待つ時間は、傷にも、心にも必要です。そこまで、お付き合いください。
時間も、薬になる。
心に届くもの。
美しいこと
理屈より先に、心が感じるもの。
その方らしいこと
流行の形ではなく、ご自分の顔だと思えること。
最後まで見届けること
手術の翌日から、仕上がりまで、同じ医師が診ます。
一人のための時間
看板を出さず、一度にお一人だけをお迎えします。
美を追う、その先に。
美しさに憧れる心は、誰の中にもあります。その先にあるのは、何でしょう。
鏡を見て、少し顔を上げる。人と会うのが、楽しみになる。その日の足取りが、軽くなる。
形成外科に入るときの面接で、院長は教授に、何がしたいのかと問われました。答えは、「患者さんの心と向き合い、メスで心を癒す方法を見つけたい」。随分と変わったことを考えているな、と言われたそうです。
このページに書いてきたことは、その答えの続きです。二人がそれぞれの知識を持ち寄り、感情をぶつけ合いながら、築いてきた考えです。
哲学として語るのではなく、医学を通して、一人ひとりに届けたい。それが、二人の考えです。
顔が、その日の足取りを変える。
二人の医師のこと
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